押し掛け対策委員会

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5.なりきり女子校生逆恨み増殖(その2)

(4 その1からの続き)

時期初夏
犯人なりきり女子校生逆恨み増殖の首謀者とその先輩一派
被害 隣家の門柱が変形(後に交換)

まず、一回目。

イベントの事務処理もその日の分は終わり、ゲームでもするかとテレビに向かった午前2時前、家の前がなにやら騒がしくなってきました。

珍走団かと思いましたがバイクや車の音がありません。

また、私の家は工業団地から近く、寮が近所にいくつかあるため、その人達かと思いましたが、そうでもないようです。

そう思っていると、いきなり家の前で大声が上がりました。

「ファーン! いるんなら出てこいよー!」

誰やそれ。うちの近所に外人の名前の人はいません。

その前にこんな夜中に大声を出すという非常識さに驚きつつ、どんな連中だか見てやろうと思いベランダに顔だけ出して下を見ました。

そこには、お前らここにどうやって来た? と言いたくなるようなコスプレをしている連中約十人ほどが私の家の方を向きながら、

「ファーン! 出てこいよー!」などと同じタイミングで叫んでいました。

近所の皆さんの家々も一斉に明かりがつき、何事かと顔を出しています。

どうやら、うちがロックオンされているのは分かるのですが、無視を決め込んでいれば退散するだろうと思い、放っておきました。

そうこうしている内に隣のおじさんが表に出てきました。

「こんな夜中に何を騒いでいる」「常識という物がないのか」「さっさと帰れ」とそいつらを叱ってくれたのですが、そいつら聞く耳持ちません。

おじさんが諦めて警察を呼ぶと言ったところ、ブチ切れて、

「警察来る前にてめえの命止めてやるよ」「てめえみてえなやつに俺達の行動を阻止されてたまるかってんだ!」などと、どこか芝居じみた口調で叫びます。

さすがにまずいと思い、階段を駆け下り、玄関先の明かりを点けるとそいつらは一気に色めき立ちました。

門の所にほとんどの人間が殺到し、口々に何かを叫んでいます。

私は玄関を開けずに「どちらさまですか?」と尋ねると、

「ああ、やっぱりファーンだ。なんでそんなところにいるんだよ」と一番前にいた奴がこれも芝居じみたセリフを吐きやがりました。

「ファーンという人はここにいません。それよりも夜中に騒がれて迷惑です。お帰り下さい」

「何言ってんだよ。忘れたのか俺のこと」

お前なんぞ知るか。その前に聞く耳なしですか。

「お前と一緒に戦っただろうが。世界の悪を倒しに・・・」

「そう言う話をされても知らない物は知りません。帰られないのでしたら警察に電話します」

そう言いながら手にしていたPHSを耳に持っていこうとすると、一番前にかなり太った――簡単に言うとビア樽のような女が立ち、意味不明な手の動きを始めました。

それを見た周りの男どもは「おお、あの技を使われるのか・・・」なんて事を言い、それを見守っています。

110をプッシュして、不審者がいて騒いでいる旨を警察に伝えるのと、その女の意味不明な手の動きが終わったのがほぼ一緒でした。

最後に意味不明な雄叫びを上げたビア樽女は、ふう、と息をついてから

「思い出しましたか?」などと芝居じみた笑みを浮かべながら言いましたが、こっちが呆然としているのを見て、いきなり怒り始めました。

「この門が彼の記憶を取り戻す邪魔をしてるのよ!」と叫ぶやいなや、門を掴んで揺らし始めました。男どももそれに合わせて門を揺らします。

元々この門かなり古く、土台にがたの来ている代物。かなり振幅が激しくなってもう少しで壊される! と思ったその時、誰かが叫んでいるのが聞こえました。

「警察が来た! 逃げろ!」

その言葉と同時に、全員大通りに向かってダッシュ開始。慌てて追いかけるとそいつらの内、何人かが隣の家の門を蹴飛ばしています。

飛びかかって止めようとしましたが、あとちょっとの所で逃げられました。

そしてこの時、門を蹴っていた一人が振り向きざまこう叫びました。

「ばっかじゃねぇの! この程度のことで警察なんか呼びやがってよ!」

てめえら何様のつもりだ。

そいつらは二台の車に慌てて乗り込むと、勢い良く去っていきました。

警察到着後、隣のおじさんと被害を確認しました。

家の門がかなりぐらついてしまったのと、母が大事にしていた鉢植えが完璧に破壊され、隣の家の門が無惨にも曲がってしまいました。

警察には逃げた車の車種を話しましたが、適当にあしらわれました。

翌朝、両親と共に近所に謝りに行ったのですが、皆さん好意的というか 「大変だったね」などと声を掛けていただきました。

一番迷惑を掛けた隣家に至っては、「この門気に入ってなかったから変える良いチャンスだ」と言っていただき、申し訳無くて涙が出てしまいました。

そして二週間後、奴らはまた来ました。

時間は午後十一時頃でしたが、またもや家の前で叫ぶという事をやらかしてくれたおかげで、私も腹を決めました。

親と姉に警察への連絡を頼み、玄関から出ていく私。

やつらは同じように、門に殺到しますが門を掴んで揺らすということはせずに、「待っていたぞ!」「やはり記憶が戻ったんだな!」などと、ぶっ飛ばしたくなるような言葉を吐きやがります。

門を開け、門を閉め、道路に出た私は一言こう言いました。

「首謀者は誰だ?」

周りを取り囲むようにしていた連中の声が一気に消えました。

同時にその顔には怒りと恐怖が混ざった表情が見て取れました。

「首謀者は誰だって聞いてんだよ! あぁ!?」

周りを取り囲む連中を見回すと、一人見覚えのある顔がいました。

「隊長」

厨のCです。

「いよう。久しぶり」

声を掛けるとCは顔を逸らします。

「XX(聞き取れなかった)さまに馴れ馴れしく声を掛けるな!」

Cの隣にいたひょろい奴がCの前に立ちながら言います。

「様付けかぁ、出世したもんだ。高校を追い出された奴が」

その言葉にCが私をにらみつけます。

「おお怖。で、今回は何? お礼参り?」

Cは私の言葉に悔しそうな顔をします。

「やはりこの者はファーンではなかったか」

いきなり、地の底から沸いて出てくるような低い女の声。見ると、ひらひらの服を着たビア樽女が怒りに震えながら睨んでいました。

次に来る言葉が予測のついた私は軽く息を吸い言いました。

「「この者を殺してしまえ!」」

見事にビア樽女とハモってしまい、周りの奴らがぽかーんとした顔をしているのを笑いながら見回し、私を中心とした円から抜け出すと、我に返った数人が飛びかかってきました。

既に容赦なしの状態になっていた私の顔を見て、そいつらの動きが止まります。

そいつらの顔に浮かんでいる恐怖は、こういった事に慣れていない証拠でした。

そうやってにらみ合いをしている間に警察到着。

厨どもはかなり暴れましたが、キレイにお持ち帰りされました。

主犯格はビア樽女で、Cの学校の先輩だそうです。襲撃理由はやはりCの私に対する恨みで、Cから相談を受けたビア樽女が、「うちの部員になんて事を!」と怒り狂い、本気で私を殺すつもりで人を集めたそうです。

なんでも「そんな事をする奴がのうのうと生きていられるなんてこの国は間違ってる! だから私達がそいつを亡き者にする」だったそうで。

あと、ビア樽女はなりきりでコスプレをしているそうで、今回集まってきた連中もその一族郎党だったようです。

ちなみに「ファーン」はそいつらが今やっているオリジナルのなりきりのキャラだそうで。

王国の危機を救った13勇士の一人だそうです。

その後の事を軽くまとめると、捕まった14人は成人がほとんどで、未成年はCと見張り役の二人でした。

一番驚いたのは武器を持っていたこと。

でかいスポーツバッグを持っている奴がいたので、中身を改めたところ、木刀が五本、スタンガンが2、改造ガスガンが4。その武器で何をしようとしていたのかは一応聞かないことにしておきましょう。

組織的、且つ計画的ということで、内容は詳しく書けませんが連中にはきついお沙汰が下りました。

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